中国で村上春樹が爆発的人気、経済成長が背景


作家・村上春樹氏(55)の作品が、中国で爆発的な人気となっている。

 代表作の「ノルウェイの森」はこれまでに100万部以上が売れた。こうした「村上春樹(中国語読みでツン シャン チュン シュー)現象」を支えるのは、都市部の若い世代。急速な経済発展に伴って生まれた「小資」(プチブル)や「白領」(ホワイトカラー)にとって、今や村上作品は、必読の書だ。

 「村上作品の魅力は、簡潔で美しいユーモアあふれる文体はもちろん、孤独や空虚さ、退屈さを楽しむライフスタイルを読者に提供してくれる点にある」

 上海訳文出版社が刊行した「村上春樹全集」の翻訳を担当した林少華・中国海洋大学教授(52)(日本文学)は、「欧米でも翻訳されているが、中国での人気は世界一だ」と断言する。

 実際、1989年に林教授が初めて翻訳した「ノルウェイの森」をはじめ、これまでに「海辺のカフカ」(26万部)など、文集を含めて計27作品が出版されている。10万部を売り上げれば「奇跡」といわれる中国の出版界で、村上作品の人気は伝説的だ。作風をまねた若手作家も登場しつつある。今年前半には、女性作家が書いたとされる「ノルウェイに森はない」というパロディー本も出回った。

 日本とは政治体制やイデオロギーが異なる中国でこれほど受けるのはなぜか。

 林教授によると、読者層は、高校生や大学生の学生層と、30歳前後の“中産階層”。林教授が2002年6月に大学で外国語を専攻する100人余りの学生を対象にアンケート(複数回答)をした結果、「世界や社会生活を認識する視点・方法を提供してくれた」が47・4%、「孤独や寂寥(せきりょう)感への共鳴」が36%と多数を占めた。

 上海訳文出版社の編集者、沈維藩氏は「今や村上作品を読んでいなければ『小資』ではないとまでいわれる。大都市の若者の好みに合っている」という。改革・開放政策から25年、都市部の経済発展が一定水準に達し、新たな階層が村上作品を支える市場になり始めたことを示している。

ロシアでも村上春樹人気あるしね。やっぱり村上作品は旧共産圏にも高度資本主義の進展ともに受け入れられるようですね。